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2017年、弊社では、東京工業大学の地球生命研究所(ELSI)の研究者のみなさんと、音楽・アート・ダンス・プロダクトデザイン・建築など多様なジャンルのクリエイターのみなさんの協働・共創の場をプロデュースする「CMS(Creators Meet Scientists)プロジェクト」を実施しました。

*プロジェクト詳細:https://www.epiphanyworks.net/project/115/

科学者の物語(仮説)や、そこにあらわれる魅力的な“登場人物“(=理論、現象、対象、着想、 手法、観察結果、実験結果、データなど)を科学の言葉とは別の形で伝え、多くの人々と共有し、社会にとっても新しい価値観の提示やイノベーションを生み出すことを目指したこのプロジェクト。

幾度かの対話を経て、その後も各クリエイターによってアウトプットが進められてきましたが、このたび、地球生物化学研究者・中川麻悠子さんとコラボレーションした二人のアーティストの作品が公開となりました。

中川麻悠子さんは、地球上のあらゆる場所に存在する微生物に着目し、彼らが誕生してから『どのように環境へ適応し、繁茂していったのか』の過程、システムを化学的指標を用いて解明することを目指しています。

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↑↑中川麻悠子さん ©Nerissa Escaniar



今回作品を公開したアーティストの1人目は、ドローイングアーティストのKYOTAROさん。

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↑↑KYOTAROさん。©KANEKOHIROSHI.2016

<公式website> http://kyotaro-art.com/

「目に見えない存在に焦点を当て、異世界を鮮やかに描き出すアーティスト」として幅広い分野で活動し、動物や神々を、主に鉛筆によるドローイングで描くことを得意としています。

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完成した作品。

描かれているのは、原子から宇宙の誕生と進化を探求する人々。

ELSIで行っている複合的な宇宙〜化学分子の研究の視点がフラクタルのように表され、中心の球体の周りに小惑星や電子のように周っている様子は、銀河とも生物とも分子とも捉えられます。

銀河~恒星の周りに惑星が回っている構造(太陽系など)〜地球のマントルと表層の生態圏〜細胞の核と細胞膜の構造〜分子の陽子と電子の構造という、マクロとミクロの世界。

それらがどのように始まったか、どのように形成され、進化していくかを人が探求しているイメージが表現されています。

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4月5日に除幕式が行われたときの様子

絵画はELSI新棟の3階壁面に飾られています。




2人目は、映像作家の坂野充学さん。

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↑↑坂野充学さん。

<公式HP> http://www.mitsunorisakano.com

フィールドワークを通して出会う希有な人物の視点をもとに、特定の土地の歴史や記憶を視覚化する映像作品を手がけ、なかでも風習から言語環境までコミュニケーションの根源的な部分にフォーカスする作品を数多く生み出されています。

中川さんは大気中に酸素がなかった太古代の地球水環境を模擬する一環境として、鹿児島薩摩硫黄島での温泉水に注目し、そこで形成される微生物生態系とその安定同位体的特徴を得るため温泉水を採取するフィールド調査を行いました。

そこに坂野さんは同行し、作品「Geoscape」を作り出しました。

作品は、現在4月15日から7月15日まで金沢で行われている個展「WALK THE TALK」で見ることができます。「語り部の軌跡を辿る」という意味をもつこの個展では、中川さんをはじめ、民俗学研究者、詩人、ラッパーなどの語る世界を可視化する展示を行っています。

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作品「Geoscape」(2019/10分)のほか、中川さんのフィールドワーク、研究、DAPIイメージとともに、採取してきた薩摩硫黄島の水も展示しています。



↑個展予告映像

<個展概要>
金沢アートグミ10周年記念個展
坂野充学 WALK THE TALK

・会期:2019.4.21Sun.-7.15Mon.
・時間:10:00−18:00 水曜定休
・会場:金沢アートグミ(金沢市青草町88番地北國銀行武蔵ヶ辻支店3階)
・TEL:076-225-7780
・主催:認定NPO法人金沢アートグミ
・協力:北國銀行
・協賛:株式会社アイ・オー・データ機器