イメージ

2017年に「国際北陸工芸サミット」の一環として開催された「工芸ハッカソン」(主催:富山県、共催:高岡市、企画運営:(有)エピファニーワークス)では、富山県高岡市の伝統工芸の職人、先端テクノロジーのエンジニア、研究者、アーティストなどがチームを組んで、工芸の未来の多様な可能性を提案しました。

「ReKOGEI(りこうげい)」は、「伝統工芸の技術・歴史・美学をテクノロジーの視点から見つめ直す」ことを目的に生まれたその後も作品制作を継続し続けたチームの一つ。

そのReKOGEIの作品「between #4 Black Aura」が、この度、『第23回文化庁メディア芸術祭』アート部門の「優秀賞」を受賞しました!

>>文化庁メディア芸術祭公式サイト

「漆黒」という表現を生むほどの、漆の持つ美的質感に着目し、3DCG/3Dプリンティング技術を導入して、その魅力をテクノロジーの視点から解き明かすと共に、漆工芸の造形と制作プロセスを拡張する本作が「メディアアート」として評価されたことは、日本の伝統工芸と先端テクノロジーの協働が、新しい造形表現を生み出す可能性があることを示したと言えます。

イメージ
イメージ

「between #4 Black Aura」

漆の質感をシミュレートしながら造形データを作成し、3Dシミュレーションの衝突実験によって、四角い布に造形物を突き刺さしたような、手わざで再現するのは困難な造形を導き出した。データは3Dプリンターで出力され、漆職人の手によって何層にもおよぶ漆塗りと研磨を施し、漆彫刻に仕上げられている。さらに、漆彫刻を3DCGのレンダリング画像の構図やライティングと同条件で撮影した。こうして撮影された写真とレンダリング画像の差異は、これまで言葉に置き換えられなかった漆の本来的な魅力を可視化した。

本作は伝統工芸の技術・歴史・美学をテクノロジーの視点から見つめ直すことを目的とし、漆の魅力を再解釈する「between」シリーズのひとつである。

「ReKOGEI」

石橋友也(ディレクター)/京田充弘(漆芸職人)/嶋光太郎(原型師)/松本祐典(3Dデザイナー)/堀川淳一郎(アルゴリズミック・デザイナー)/平田正和(フォトグラファー)/西尾美智子(レタッチャー)/沼俊之(プロジェクトマネージャー)/引地悠太(プロジェクトマネージャー)/橋本孝久(デザイナー)/水落大(エンジニア)新宅加奈子(コピーライター)

※同作品は『2019アジアデジタルアートアワード』エンターテイメント部門の優秀賞も受賞しています。

>>『2019アジアデジタルアートアワード』公式サイト

また、このような工芸の新たな価値を生み出す「工芸ハッカソン」待望の第2回が、『GO FORKOGEI~北陸で出会う、工芸の可能性~』(主催:北陸工芸プラットフォーム実行委員会)のプログラムの一つとして、今年8月~11月に開催される予定です。こちらも引き続き、ご注目ください。

>>「工芸ハッカソン」公式サイト